神奈川県では貴重な墳丘の残る古墳
 今回の古墳は稲荷前16号墳といういささか風情のない名がつけられた4C後半築造とみられる前方後方墳です。谷本川(鶴見川)を見下ろす台地に墳長37.5mと決して大型ではありませんが、どっしりと構えた様は、当時は遠くからも目立ったに違いありません。それにしても東急田園都市線の市ヶ尾駅近くにこのような古墳があるとはびっくりです。

 説明板によれば昭和12年に発掘調査がなされ16号墳を含む3基の保存が決まったそうです。4Cから7Cにかけて継続的に墳墓が造られているところから、一首長によってこの地が統合されていたとしています。ヤマト王権とも何らかの関係があったのでしょう。不思議なのは前方後方墳とはいえ、ほほ同じ方形をした前方部と後方部がくびれ部を挟んで対面しているようにみえることです。実際、説明板の測量図もそのようになっています。いずれ紹介しますが、近くには終末期の市ヶ尾横穴古墳群もあり公園として保存されています。ということは古代、この地(都築)は古墳が多数築かれたところだったということになります。4C後半といえば前方後方墳では墳長183mと最大規模の天理市西山古墳があり、それより前の4C前半には前橋八幡山古墳が造られています。同じ頃この地を支配した地方の豪族が被葬者だったのでしょう。

 アクセスは東急田園都市線市が尾駅から東急バスで桐蔭学園前行に乗り、水道局青葉営業所前下車。目の前の森が稲荷前古墳。墳頂までは5-6分です。結構、急な勾配です。


PNG inarimae16gou zu


稲荷前古墳16号データ

所在地 神奈川県横浜市青葉区大場町

形状 前方後方墳

規模 墳長37.5m 後方部幅 15.5m 前方部幅 11.0 高さ 明示なし

築造時期 4C

出土品 壺型土器、器台

史跡指定 県指定

特記事項 二つの方墳がバチ型に広がった短いくびれ部でつながっている


 


にほんブログ村 歴史ブログ 考古学・原始・古墳時代へ
にほんブログ村