巧みな仕掛けに驚かされる美しい石室
この日はひたすら歩いた記憶が古墳そのものよりも先に思い出されます。郡山で乗り換えて東北本線須賀川駅に着いたのは午前10時5分でした。駅前の観光案内所で下調べしたルートを確認しました。夕方までに蝦夷穴古墳(クリック)、大仏横穴墓、市野関稲荷神社古墳(クリック)、大塚古墳、できれば団子山古墳(クリック)を訪ねたい。たぶん大丈夫ですよとのこと。行程はおよそ20㎞。はじめて歩くところにしては長い距離です。結局、すべてまわることができたのですが大変でした(散策マップをご覧ください)。今回の大塚古墳は施錠されており、須賀川市の文化振興課の方と現地で落ち合う約束をしていたのですが、南に下るべきところなぜか東に歩いてしまい、途中で振興課の方の車にピックアップしてもらう羽目に。東方向に無駄に歩いた距離は3㎞ほどになり疲れました。しかし、その疲れをふっとばしてくれるぐらい感動したのが大塚古墳でした。周辺は動画冒頭でおわかりのように圃場整備が進み以前の景色とはだいぶ異なっているとのこと。でも、道標はしっかり据えられています。びっくりしたのは施錠されているといってもご覧のように素通りできる状態だったことです。径30mほどの円墳開口部には閉塞石らしき大きな石の塊が転がっていて、短い羨道の先に側壁にはめ込まれた玄室入り口の玄門がみえます。その先は蝦夷穴とは全く違って中型の石を平積みした側壁が狭い天井に向かって急速に持ち送っています。幅は約1.3mと狭く高さも2mほどしかありませんが全体としてとても整美な印象です。その一つの理由は、一枚の大型の石を使った奥壁にある額縁のように左右に置かれている立柱石が玄門と一直線で結ぶことができ立体構造が浮かびあがるからではないでしょうか。加えて床には長方形の板石が敷かれていることもその効果を増幅させています。設計者の巧みな仕掛けに驚かされるばかりです(撮影2019年4月23日)。
にほんブログ村