周濠跡から眺められる墳丘全体像
天理参考館(天理大学付属の考古学と民俗学中心の博物館)の前を走る県道51号線にはいくつもの古墳、それもかなり大型の前方後円墳、前方後方墳、円墳が残されています。北からあげてみますと径63mもある円墳に長さ17mの石室が付いた塚穴山古墳(クリック)、その南隣に前方後方墳としては全国最大、長さ183mの西山古墳(クリック)、そこから200mほど南に下ると墳長80mの前方後円墳、小墓古墳、そして今回の墳長118mを誇る西乗鞍古墳、その東側には墳長113mの東乗鞍古墳(クリック)という具合で古墳銀座的様相を呈しています。
西乗鞍古墳は以前から前を通るたびに気にはなっていたものの2018年ごろまではペット用の墓の用地だとしてフェンスで立ち入りが禁止されていました。どういう経緯かわかりませんが天理市が管理できる状況になったようで、現在では動画にあるように墳頂まで登ることができます。道路から少々上ると周濠と周堤が崩壊して平坦になった面が広がり、緑濃い墳丘を一望することができます。ただ、おわかりのように一見して前方後円墳とわかるわけではなく、注意深く墳丘裾をたどらなければなりません。後円部、前方部それぞれ墳頂に登るとその部分だけ草刈りが行われていますが、両者をつなぐ墳丘尾根は雑木に遮られ見通しがきかないのは残念です。もっとも、前方部幅が88mと後円部径66mを大きく上回る様子は平坦面から確認できます。東乗鞍古墳では横穴石室が開口していましたが、西乗鞍古墳でも横穴石室ではないかと推定されています。冒頭で触れた一連の古墳は杣之内古墳群と呼ばれ、西乗鞍古墳もその内の1基ですが、規模は西山古墳につぐ大きさです。大王墓につぐ規模の前方後円墳ということは、ヤマト王権を支える有力豪族の墓ということなのでしょう(撮影2019年11月21日)。
西乗鞍古墳基本データ
所在地 奈良県天理市杣之内
形状 前方後円墳規模 墳長 118m、 後円部径66m 高さ16m、前方部幅88m 高さ16m周濠あり
築造時期 5C末
出土品 円筒埴輪、形象埴輪、土師器、須恵器
史跡指定 国指定
特記事項 なし
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