周濠の常緑樹とのバランスが見事な前方後円墳
なかなか美しく復元された墳長80mの後期前方後円墳です。発掘調査前の墳丘の様子が確認できていないのが残念ですが、現在の姿は後円部径よりも前方部幅がはるかに上回る典型的な後期前方後円墳です。県道118号線から古墳のある高台まで登るとまず目に入るのは径34mの円墳で、左を向くと1号墳の前方部がそびえています。周濠に植えられた常緑樹と墳丘のバランスが見事です。動画1でその様子がわかればよいのですが。
くびれの造出しから墳丘にのぼり後円部にむかうと右手には霞ヶ浦がひろがります。さほど後円部頂上は広くありませんが、発掘調査によって粘土槨の埋葬施設が明らかになっています。前方部頂からも石棺が確認されているので被葬者は2名ということになります。説明板によれば、盗掘は受けていたものの粘土槨周辺からは直刀、鉄鏃、馬具の破片、管玉、ガラス玉が見つかり、周濠からは円筒埴輪の他、朝顔、家形、人物、動物の埴輪が確認されています。古墳時代には霞ヶ浦、香取海(現在は消滅)など内海が水運、漁業の場として重要で、それを仕切った人物が富士見塚古墳には葬られていると考えられています。築造時期としてはやや先行する三昧塚古墳(クリックすれば飛べます)も同規模の前方後円墳ですが同じ霞ヶ浦近くに造られています。両古墳の位置関係の地図を用意しましたのでご覧頂ければ幸いです(撮影2015年10月6日、アップするのを忘れ5年近く前の訪問です)。なお富士見塚古墳の所在地はかすみがうら市で動画にある「かすみが浦市」は誤りで失礼しました。
富士見塚古墳基本データ
所在地 茨城県かすみがうら市柏崎
形状 前方後円墳 円墳
規模 1号墳 墳長 長さ 80.2m 後円部径38.4m 高さ8.5m 前方部幅49.4m
高さ9m、2号墳 径25m、3号墳 径18m
築造時期 1号墳 6C初 2号墳 6C初 3号墳 6C末
出土品 直刀、鉄鏃、馬具の破片、管玉、ガラス玉、円筒埴輪、朝顔、家形、人物、動物等形象埴輪
特記事項 墳丘の復元は竹下内閣のふるさと創生事業が利用された
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