24領もの甲冑が出土した貴重な前方後円墳
今回の堺市美原区にある黒姫山古墳。いささか不幸な古墳のような気がしてなりません。地図でおわかりのように世界遺産に登録された堺市の百舌鳥古墳群と羽曳野市、藤井寺市の古市古墳群のちょうど真ん中にあります。墳長114mの堂々たる前方後円墳で前方部埋葬施設から24領もの甲冑が手つかずのまま出土したことでも知られています。陪塚もいくつか伴っていますし百舌鳥、古市古墳群と同じ5C中頃に築かれていますがなぜか世界遺産の候補リストにも入っていませんでした。専門家の説明では百舌鳥、古市古墳群を築いた勢力とは異なっているためとしており、たしかにこの地域を支配していたのは豪族の丹比(たじひ)氏ではないかといわれています。
でも何か腑に落ちません。私の思い込みにすぎませんが現在の堺市美原区は2006年の堺市政令都市移行前は美原町として独立していました。当時既に、堺市、羽曳野市、藤井寺市の世界遺産登録へ向けての誘致活動は始まっており堺市に属していなかった美原町は参加していなかった。こう考えるとこの古墳が世界遺産から外れているのもわかる気がします。同時に堺市博物館とは別になぜ出土品の展示が行われている立派な堺市歴史博物館が美原区にあるのかもわかります。美原町時代に造られたのです。
個人的には出土品を現地で目にすることができない百舌鳥・古市古墳群よりも(その世界史的な意義は認めるにしても)埋葬施設が出土した当時のように再現され、実物は歴史博物館で見学できるこの黒姫山古墳のほうに惹かれます。なぜか堺市博物館では堺市美原歴史博物館の宣伝はほとんど行われていません。2回訪れましたが閑古鳥が鳴いていました。肝心の黒姫山古墳の墳丘ですが動画でおわかりのように墳丘は雑木林が繁茂し折角の円筒埴輪も夏場は目視不可能です。百舌鳥・古市古墳群の宮内庁管轄の墳墓同様の状況で残念の一言です。国指定なのですから墳丘の形がわかるぐらいにはしてほしいものです。アクセスは近鉄河内松原駅からバスでさつき野東行きで下黒山西下車。目の前です。バスは1時間に2本はあります(撮影2017年8月31日)。
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