紅葉の中の美しい小墳
飛鳥の駅から東に走る県道209号線を道なり600mほど歩くと左手に高松塚古墳、右手に中尾山古墳があります。動画1の冒頭にある遊歩道として整備された登り口を進むと見事な紅葉を借景にした墳丘が見えてきました。これほど鮮やかな紅葉も滅多にお目に掛かれません。古墳を整備した方々が紅葉がよく似合うと考えたのでしょうか。しかも高松塚古墳の喧騒とは違って私が訪ねた時に会ったのはウォーキングをする女性一人だけ。周囲の静寂を独占できました。
肝心の古墳ですが高位の人に使われた八角墳であることが調査の結果わかっています。段の塚古墳(舒明天皇陵)はじめ10数基が八角墳とされていますが、見学者にも一目でわかる古墳はありません。このブログでは首長墓である兵庫県宝塚市の中山荘園古墳(クリックすれば飛べます)を紹介しています。小規模ですがその形がよくわかります。中尾山古墳に戻りますが、高位の人物の埋葬に用いられる八角墳であることから真の文武天皇陵ではないかとみられています。残念ながら自然保存のために現状からは墳形が変形し円墳にしかみえません。唯一周囲にめぐる木枠がその様子を示しています。大きくえぐられた埋葬部分には横口式石槨が置かれ、骨蔵器が納められていたと考えられています。横口式石槨といえば大阪羽曳野市の観音塚古墳、奈良県高取町の寺崎白壁塚古墳(いずれも古墳名をクリックすれば飛べます)などがあります。箸墓古墳にはじまる大型の前方後円墳の古墳時代が終わり、飛鳥時代も過ぎた頃の終末期最後に造られた墳墓ということになります(撮影2017年11月27日)。
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