今回は終末期に造られた横穴石室を持つ奈良県桜井市にある文殊院西古墳を紹介します。円墳と推定される古墳は桜井駅近くにある安倍文殊院の境内にあり、国の特別史跡になっています。データに記載したように特別史跡指定の古墳は全国で6基だけであり、その点からも如何にこの石室が価値のあるものかがわかります。動画でどこまでその素晴らしさを伝えることができたかはわかりませんが、切石の加工技術の高さは飛鳥村の岩屋山古墳(5月31日アップ)や前橋市の宝塔山古墳と並び見事の一言です。

それにしても古墳がなぜ華厳宗の安倍文殊院の境内にあるのでしょうか。偶然ではなさそうです。被葬者ではないかといわれている安倍倉梯麻呂(大化改新の時に左大臣として登用)の氏寺として文殊院は建立されているからです。それほど重要な人物が葬られているのならば石室だけでなく墳丘も当時の姿を伝えて欲しかったというのは私だけではないと思います。もっとも早くから石室は開口していたようですから、古墳自体も歴史の荒波にもまれたことは間違いなさそうです。

アクセスはJR桜井駅からコミュニティバス(循環線)で安倍文殊院下車徒歩5分です。北口、南口それぞれを通るようになっていますが、概ね1時間に一本です。なお駅から観光案内所で地図をもらい歩いても十分に行ける距離です。30分はかかりません。

文殊院西古墳データ

所在地 奈良県桜井市阿部字寺谷

形状 円墳(はっきりしない)

規模 30m前後、石室(両袖式横穴石室)は全長125m

玄室 長さ5.1m、幅287m、高さ2.7m

羨道 長さ7.4m、幅1.9m、高さ2m  

築造時期 7C

出土品 不明

史跡指定 国指定(特別史跡) 

特記事項 古墳の特別史跡は高松塚、キトラ、巣山、石舞台、岩橋千塚の6例のみ


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